【コラム】熱血漢で人情家ブルワーズのマーフィ監督、プロ野球の監督業にも関心?

6:31 AM UTC

ブルワーズの名将、パット・マーフィー監督は、記者会見に初めて参加する記者にいつも自己紹介を促す。

「初めての記者は立って、自己紹介して」

ナ・リーグ優勝決定シリーズ開幕前日も同じだった。会見場をぐるりと見回し、「君は初めてだよね」「どこの社の記者なの?」と気さくに話しかける。

日本の記者が自己紹介をすると、監督はこう尋ねた。

「今季のプロ野球の結果はどうだい?俺が推してる楽天(ゴールデンイーグルス)はどうだった?」

「今年はまあまあでしたね」

「どこが勝ち上がっているんだい?」

「阪神とソフトバンクです」

記者がそう答えると、マーフィー監督は「日本人の記者のみんな、俺に日本のプロ野球の仕事をくれないか。どうかな」と応じ、会場は笑いに包まれた。

なぜ楽天ゴールデンイーグルスなのか。そう尋ねると、ブルワーズの監督に就任する前、楽天ゴールデンイーグルスの球団関係者と話す機会があり、それをきっかけに日本の野球に興味を持ったという。

「自分は選手に冗談を言ったり、よく話しかけたりするタイプだろう。そんな自分が日本のプロ野球で監督になったら、選手たちは受け入れてくれるだろうか。どんな反応をするのか、興味があるんだ」

さらに、こう続けた。

「人生には挑戦が必要だ。日本で監督をするなんて、とても大きな挑戦だと思う。そういう挑戦もいいなと思ったんだよ」

もちろん、どこまで本気なのかは分からない。ただ、冗談の中にも、日本の野球に対する好奇心がのぞいた。

マーフィー監督は、2年連続でナ・リーグ優秀監督賞を受賞している。評価されているのは、成績だけではない。選手の起用法や接し方、時には厳しく、時には励ます。その手綱さばきが絶妙だ。

厳しさは、時に容赦がない。怠慢に見える走塁や、積極性を欠く打席があれば、試合後まで待たず、その場で選手を交代させる。懲罰的な意味合いもあるだろうが、ベンチから試合を客観的に見つめ、自分のプレーを振り返らせる狙いもある。

こうした指導を受けた選手は少なくない。昨季は三塁手のジョーイ・オルティスが、打席での積極性を欠いたとして数試合スタメンを外された。今季も、ルーキーのクーパー・プラットがメッツ戦での走塁を問題視され、すぐに交代を命じられた。

プラットは反省の色を隠さなかった。

「メッツ戦だったこともあって話題になってしまったけど。そうですね、やってしまいました……」

厳しいだけではない。マーフィー監督は、公平さと選手への敬意を大切にする人物でもある。

ブルワーズを取材する複数の記者によると、監督はポストシーズン進出が決まった際、今季のレギュラーシーズンでプレーした58人の選手一人ひとりに連絡を取り、感謝を伝えるために時間を割く考えを明かした。

ブルワーズのレポーターソフィア記者によると、君たちもこのチームの一員だ、というメッセージを伝えたという。

時に厳しく接する一方で、チームに関わった一人ひとりを忘れない。そんな姿勢が、選手との信頼関係を築いているのだろう。

日本のプロ野球で指揮を執るマーフィー監督。実現するかどうかは別として、想像すると興味深い。冗談を交えながら選手の懐に入り込み、時には厳しい決断をためらわない。その指導スタイルは、日本の選手たちの目にどう映るのだろうか。

会見場を笑わせた「日本で監督を」という言葉。いつか本当に、そんな日が来るのだろうか。