2025年のメジャーリーグ(MLB)があす3月26日に米国での開幕を迎える。今季はマイナー契約を含め、15人の日本選手が米球界に在籍。それぞの選手を展望する。
【大谷翔平・ドジャース】
投手復帰でリアル二刀流として復活のシーズンとなる。2023年9月19日に2度目の右肘靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、春季キャンプはリハビリに終始。ライブBPなど実戦的な投球練習はまだ再開していない。一時、中断していたブルペン投球などを再開し、マイナー戦でのリハビリ先発はせずにDHとしてメジャーの試合に出場を続ける。投手復帰は、5月中が想定されている。
【山本由伸・ドジャース】
米国での開幕第2戦、3月28日(日本時間29日)のタイガース戦で先発する。メジャー2年目の今季は、フルシーズンでの活躍が求められる。昨季は、右上腕の負傷で6月中旬から約3カ月離脱した。ワールドシリーズ連覇をかけ、グラスノーとスネルを加えた先発3本柱としてレギュラーシーズンとプレーオフではエースとしての役割が求められる。昨年は中4日での先発はなし。優勝がかかるシーズン終盤戦、そして10月のポストシーズンでは中4日の解禁が必要になるかもしれない。
【佐々木朗希・ドジャース】
メジャー1年目は、異なる環境に適応するため慎重に日々の調整を進める。3月29日(日本時間30日)の米国開幕の第3戦(タイガース戦)での先発が決定している。ドジャースは、佐々木がロッテ時代にシーズンを通して先発ローテーションを守った経験がないことを考慮し、時間をかけてメジャーの中4、5日の登板間隔に順応をはかる。
【ダルビッシュ有・パドレス】
右肘の炎症で開幕は負傷者リスト(IL)で迎えるメジャー14年目。離脱の期間は、現段階では不明だ。3月13日のロイヤルズとのオープン戦で54球を投げ、4回2安打1失点とした登板後に炎症を発症し、数日間はノースローで過ごした。23日にチーム本隊より、一足早くアリゾナを離れサンディエゴに戻り、治療やリハビリを続けている。
【松井裕樹・パドレス】
メジャー1年目の昨年は、キャンプ序盤で急性腰痛を発症したが、2年目は順調に過ごした。現状での役割は、昨季と同様なら僅差のビハインドや同点の試合展開。勝ちパターンの継投には、クローザーにスアレス、セットアッパーにアダム、エストラーダがいる。松井は勝利パターンへの継投を勝ち取ることを個人的な目標にしている。
【今永昇太・カブス】
カブスではエースとしての役割が求められる。3月18日に東京ドームで開催されていたドジャースとの開幕戦では、4イニングを投げノーヒット無失点の好投。米国での開幕第3戦、3月29日(日本時間30日)のダイヤモンドバックス戦(フェニックス)、そしてシカゴでのホーム開幕戦となる4月4日(日本時間5日)のパドレス戦に先発予定だ。
【鈴木誠也・カブス】
レギュラーのDHとしてカブス打線で重要な役割を担う。オープン戦では主に「2番」を務めた。昨年は日本人野手として初めて2年連続20本塁打以上をクリア。5年契約の4年目を迎えているが、プレーオフ進出の経験はない。2022年は左手薬指、23年は左脇腹、昨年は右脇腹を痛め負傷者リスト(IL)入りし、各シーズン一定の期間で戦線離脱した。今季は、IL入りすることなくフルシーズンでの活躍が求められる。
【菊池雄星・エンゼルス】
エンゼルスに移籍1年目、メジャー7年目で初めて開幕投手を務める。春季キャンプとオープン戦では調整を任され、チームからの信頼をすでに得ている。オープン戦では3試合に先発し、12イニングで16三振を奪うなど順調な調整を送った。エンゼルスはプレーオフから2014年以来、10シーズン遠ざかる。さらに9シーズン連続でシーズンを負け越し、昨季は63勝99敗と苦しんだ。チーム再建、先発投手の中心としての期待がかかる。
【前田健太・タイガース】
タイガースと2年契約の2年目、メジャー10年目を迎える。先発ローテーション入りを目指したが、オープン戦期間中に体調を崩したことも影響し、開幕時点では中継ぎ要員に入る。例年、休養にあてるオフ期間も11月から始動。キャンプインまでにブルペン投球を8度こなすなど、ハイペース調整で春季キャンプに入った。チームでも最年長のベテラン右腕は、先発投手への復帰を目指しながら、節目のシーズンを送る。
【千賀滉大・メッツ】
昨年は右肩と左ふくらはぎの負傷でレギュラーシーズンでの登板はわずか1試合。メッツと5年契約3年目の今季、春季キャンプとオープン戦は離脱なく順調に過ごした。昨年、リーグ優勝決定シリーズまで勝ち進んだチームにおいて力量としては、エースの役割が求められる。いかに故障離脱せずにローテーションを守ることができるか。開幕ローテーションでは、5番手となる4月1日(日本時間2日)、マイアミでのマーリンズ戦で先発する。
【菅野智之・オリオールズ】
1年契約で加入。開幕ローテーションでは、3-4番手での先発が見込まれている。オープン戦では開幕前の最終登板となった3月20日のヤンキース戦で五回途中6安打5失点。しかし、それまで4先発(9イニング)では、無失点を続けるなどメジャー1年目で順調に新たな環境に順応を進めていた。チームは若手の将来豊かな選手がそろい、最激戦区とされるア・リーグ東地区でも優勝候補の一つ。菅野が安定してローテーションを守ることができれば、3年連続のプレーオフ進出に近づくことができる。
【吉田正尚・レッドソックス】
昨年10月に受けた右肩手術の影響で開幕はマイナー傘下3Aウースターでプレーする。チームはアストロズからフリーエージェントでブレグマンを獲得し、三塁のレギュラーに。これまで正三塁手だったデバースがDHにまわるため、吉田は右肩が回復して、外野守備につく必要がある。そのため、外野手として実戦で守備につき、スローイングが可能になるまではマイナー戦でDHとして打席を重ねながら、右肩のリハビリを継続する。
【小笠原慎之介・ナショナルズ】
ナショナルズとメジャー契約で2年契約を結ぶもオープン戦ではアピールできず、マイナーで開幕を迎える。オープン戦では5試合に登板し、1勝3敗、防御率11.25だった。12イニングで10三振を奪うも、8四球を与えるなど、制球面で苦戦した。開幕後は3Aロチェスターで環境に順応し、結果と内容を示し続けることでメジャー昇格を狙う。
【藤浪晋太郎・マリナーズ(マイナー契約)】
米球界3年目は、マリナーズとマイナー契約を結び、メジャーのキャンプとオープン戦に招待選手として参加していた。オープン戦では、3月に5試合連続無失点などアピールを続けた。オープン戦は8試合(7回2/3)を投げ、9四球、3死球と課題の制球面の改善で大きなピールができなかった。それでも最終盤までメジャーのオープン戦に帯同。3Aタコマで開幕を迎え、2シーズンぶりにメジャーのマウンドを目指す。
【青柳晃洋・フィリーズ(マイナー契約)】
マイナー契約でメジャーのキャンプとオープン戦に参加。序盤はメジャー球の扱いに苦戦し、オープン戦では4試合(3回)を投げ、6四球、1死球と制球面での課題が明白だ。それでもメジャーでは珍しいクイックモーションでのサイドスローは中継ぎの一角に入るチャンスはある。マイナー降格が決まった直後の3月15日のブルペン投球は、トムソン監督が視察するなど昇格の可能性をうかがわせた。